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タクシーで引越しや荷物を運べる?「貨客混載制度」とは?

タクシーで引越しや荷物を運べる?「貨客混載制度」とは?

タクシーで引越しや荷物を運べる?「貨客混載制度」とは?

荷物を近隣に運ぶ際、あるいは近隣に引越しを行う際にこう思った事はありませんか?「荷物だけをタクシーに運んでもらおう」と。

実はこの安易な考えはついこの間まではNGで、法律でも厳しく敷かれているほどでした。
しかし2017年頃に規制緩和の動きがあり、一部で試験的に導入しています。

タクシーが荷物を運んでくれる…なんとも図々しいと言いますか、ありがたいと言いますか、何はともあれこのサービスの概要を見てみることにしましょう!

人口減少・人手不足対策に「貨客混載制度」を見直し

国土交通省は2023年6月30日より全国のタクシー及び貸切バス、トラックにおいて、乗客と荷物を一緒に運ぶ「貨客混載」を全国で実施できるよう規制を緩和しました。

背景として地方自治体各所からタクシーを使用して高齢者世帯に食品や医療品などの生活必需品を混載する事業の提案があったためとのことです。

今回の見直しによって、タクシー事業者が「トラック事業」の許可さえ得られれば、自社のタクシー車両で貨物を運べるようになります。

運送業界の深刻な人手不足対策の一手となるか、注目したいですね。

貨客混載とは?

そもそも聞き慣れない『貨客混載』という単語…「かきゃくこんさい」と呼びます。

外出自粛で増えるタクシーの新たな需要(デリバリー・買い物代行・物流)。

貨客混載とは、お客様と荷物の輸送・運行を一緒に行う取り組みを言います。
公共交通機関でも鉄道や飛行機など、乗客と荷物も運ぶのが「貨客混載」のカテゴリーになります。

本来は乗客のみを輸送だった

しかしタクシーや貸切バスなど、乗客を乗せて目的地まで運ぶ公共交通機関は乗客のみを輸送する「旅客運送」と言い、2017年までは道路運送法において「タクシーは旅客運送に特化すること」と定められていました。(ちなみにトラックなど物流業界をメインに活躍し荷物を運ぶ業態は「貨物運送」と言います。)

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しかし当時の国土交通省発表の自動車運送業の生産性向上プラン発表以降は「貨物自動車運送事業の許可を取得した場合のみ、荷物を運ぶ事を許可する」へ変更となっております。

実は2017年前から始まっていた

実は2017年の時点でタクシーの貨客混載はスタートしていたというから驚きです。
おそらく知らなかった方がほとんどでは無いでしょうか?

それもそのはず、「貨物自動車運送事業の許可を取得した場合のみ、荷物を運ぶ事を許可する」という名目はあるものの、これには但し書きがあり…タクシー、トラック、貸切バスの規制緩和には今までは「過疎地域に限る」という条件付きだったのです。

地方過疎地では実証実験

過疎地域とは、地方過疎地域自立促進特別措置法でタクシーを管轄する各地方運輸局が発表している「過疎地域又は同過疎地域とみなされた区域」の人口が3万人に満たない市町村を指してします。

以前までは地方の過疎地域に限定して実証実験、或いはサービスを開始していました。

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過疎地域では成立するサービスとは言われていたものの、都市部や全国規模となると成立するのかという疑問符が当時あり、半ば実証実験のような形で行っていました。

しかしコロナ禍の影響で食事配達などの貨客混載が都心部でも例外的に認められた例もあったのです。

ついに全国で解禁

これについて、国土交通省は、事業者が貨物と旅客両方の許可を得ることを条件に、今月30日から対象地域を全国に拡大します。

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人口減少や地域住民の高齢化、さらには物流ドライバー不足が進む中、各地の地方自治体から公共交通機関や物流の手段を確保するため、タクシーの貨客混載可能な対象地域を拡大するよう要望が出されていました。

積載量は?

積載が可能な貨物の重量は、原則として、乗車定員数から乗車人数を控除した数に55kgを乗じた重量以内とすることを定義としています。

また、以下の点に留意して旅客運送及び貨物運送を行うこととしています。

A.旅客が乗車するスペース及び当該旅客の手荷物を載せるスペースが確保されていること。
B.旅客及び貨物のそれぞれの運送スケジュールに支障がないこと。
C.旅客及び貨物のそれぞれの運送に見合う適切な運賃となるように配慮すること。
D.旅客と貨物を同時に運送する場合は、貨物専用のスペースを設ける等、貨物の荷崩れ等による車内事        故等の発生及び旅客による貨物の破損並びに貨物に係る個人情報の流出を防止する措置を講ずること。
E.旅客自動車運送事業運輸規則(昭和 31 年運輸省令第 44 号)第 52 条各号に掲げる物品(同条ただし  書の規定によるものを除く。)を旅客と同時に運送しないこと。
【国土交通省:令和5年5月31日プレスリリース『貨客混載制度の実施区域の見直しについて』より一部抜粋。】

2024年問題の影響も

貨客混載の規制緩和の背景には、深刻な物流業界の人手不足への対応策としての動きでもあります。

『働き方改革関連法』によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される問題…通称「2024年問題」の影響で、トラックドライバーの収入減が見込まれると業界の離職率増加に繋がり、当然ながら人手不足に陥る可能性があります。

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そこで目をつけたのが、タクシーや貸切バスといったわけです。
国土交通省では地域の関係者による協議が整ったことを条件として、貨客混載事業を行うことができることとしました。まさに「かけもち」という訳ですね。

これから~Opinion~

タクシーは完全なる「旅客運送業」として営業を行っていましたが、2017年6月30日より一部過疎地域において「貨客混載」を認可し、6年後の2023年6月30日に国土交通省は全国のタクシー・バス・トラックの「貨客混載」を許可しました。

これにより運送業界の人手不足解消を図り、タクシー業界が新たな一面を打ち出すことによって営業の可能性を広げていくことを願ってやみません。

首都圏などでは多くの軽貨物輸送事業者が個人事業主として営業しており、メリット・デメリット等もあるようですが、タクシー事業者が今後この貨客混載をどのようにサービスを利用するかは不透明な部分もあります。

しかし、乗務員や研修生の『救済的』な場で利用するというのもアリかもしれません。
様々な角度からこの貨客混載制度をタクシー事業者は利用してほしいと思います。
“タクシーで単身ラクラク引っ越しパック”なんてのがいつしか誕生するかもしれませんね!

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