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大阪のタクシー『55割』が今夏廃止へ。新割引設定で営収増加なるか。

大阪のタクシー『55割』が今夏廃止へ。新割引設定で営収増加なるか。

タクシーの運賃は深夜になると割増料金が発生しますよね。
業界用語ではメーター部分が青く光ることから「青タン」とも呼ばれていますが、大阪ではなんと、深夜帯では一定数の料金を超過すると割引が発生するという制度があるのをご存じでしょうか?

今回は時代の波もあって、その幕引きが訪れたというニュースです。

大阪のタクシー『55割』が今夏廃止へ。新割引設定で営収増加なるか。

大阪府内のタクシー事業者各社は、今夏5,000円超の運賃5割引き制度『55割』を廃止する方向であることが明らかになりました。

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新割引設定で、東京特別区・武三交通圏同様に営業収入増加を見込む狙いがありますが、そもそもの廃止・変更の発端に至ったのは、時代背景ならではのやむなき理由がありました。

発端は燃料高騰など…

では、その発端とはなんでしょうか?

大阪のタクシー運賃割引制度「55割」の廃止には、タクシー業界内で、コロナ禍をきっかけに発生した人手不足と、自動車業界全体を揺るがす「燃料高騰」が背景にあります。

さらに、アクリル板の設置など感染防止対策を施した結果、設備投資にも大幅なコストが発生し、タクシー事業者各社で収益が悪化したことも原因と言えましょう。
この部分は全国都道府県で起きている『運賃値上げ』の事象と通じるものがあります。

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約20年続いた大阪タクシー業界ならではの「制度」

「55(ゴーゴー)割」は5,000円超のタクシー運賃分が半額になる大阪のタクシー独自の割引制度です。

今から約20年前の2002年、タクシー運賃規制緩和に伴い大阪のタクシー事業者が相次いで「55割」の導入を開始しました。
大阪府内の法人ハイヤー・タクシー事業者を管轄する近畿運輸局によると、2022年9月時点で大阪のタクシー事業者の6割にあたる165社が「55割」を導入している制度です。

タクシー激戦区の大阪ならではの割引制度で、長きに渡ってタクシーを利用される浪速のお客様の懐を支えてきたサービスでした。
今回の廃止を受け、運賃モデルは大阪/梅田から神戸/三宮間で約2,000円程度、梅田から京都間で約5,000円程度高くなる見込みです。

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申請が相次いだ

現在『55割』を適用している大阪のタクシー事業者のうち、おおよそ8割の143社が結託して現行の割引制度から新規に「9,000円超の運賃1割引きにする制度」に設定する方向で動いています。

近年は燃油価格高騰だけでなく、やはりコロナ禍による収益悪化もあり、高い割引率が経営の負担となっているケースも相次いだことから、タクシー業界が『55割』の見直しへと舵を切りました。

また、近畿運輸局も「過度な割引を是正するため、昨年12月に割引率を見直す際の審査基準を緩和し、タクシー会社側が変更しやすくした」とのことで、タクシー事業者からの申請があった場合は認可する方針です。

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現場では不安の声も

元々は商売の街大阪で、ユーザー心理の「値段が安い方が受け入れやすい」という面もマッチしたため、『55割』お客様側からは好評のサービスでした。

しかしタクシードライバー目線で見ると、一定のロングでお客様が乗る場合は『割引のネックがあって思うように稼ぎにくい』という事情がありました。

今回の『55割』廃止によって新たな割引制度がスタートし、タクシードライバーの営業収入が東京特別区・武三交通圏同様に大きく向上することを期待したいのですが、やはり現場からは不安の声もあるようです。

大阪府内のタクシー会社の方は今後の見解について「とはいえ55割は継続する会社もあるそうで、その場合に客様が55割のタクシーに集中したりしないかが懸念だ。タクシーの乗り控えなども心配…」と述べていました。

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これから~Opinion~

大阪のタクシーでは多くの方が利用しているサービスとあって、今回の廃止・変更は事前アナウンスの強化とタクシー会社側の対策もしていかないと更なる人材の流出につながりかねません。

やはり転職相談で大阪のタクシー会社へ転職希望のお客様がいらした際に、この「55割」の部分は気にされており、『東京へ出て仕事をするべきか、大阪で「55割」制度を敷いていない会社にするか』の選択を迷っておられた記憶があります。

タクシーは公共交通機関かつ電車やバスのように駅や停留所がある訳でなく、ドアツードアで目的地まで乗ることが可能な「特殊」とも言えるサービス業です。そのため都道府県各所で足並みを揃えることが非常に大切ですし、それだけに規制緩和でこのようなサービスを開始してしまったのは、後々万一の際に問題になりそうな事案だったような気がしてなりません。

今全国的に配車アプリの普及が出始め、転職希望の方も最低条件に挙げるほどの重要度が高い条件面になってきています。
大阪はまだまだ掘り起こせば多くのお客様がタクシーを利用する需要があると思いますが、等しいはずの値段設定にバラつきが発生しては元も子もないないと感じた次第です。

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