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東京無線とチェッカーキャブの業務提携で何が変わる? タクシー運転手への影響を解説

東京無線とチェッカーキャブの業務提携で何が変わる? タクシー運転手への影響を解説

この記事を読んで分かること

・東京無線とチェッカーキャブの業務提携で変わる事

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専属ライターO
専属ライターO
【この記事の制作者】

日本交通グループに1年勤務、DSP(ディスパッチャー日本交通タクシー乗り場の管理)・新卒採用担当(新卒採用での説明会)の業務を行っていました。業界の実務経験を経た説得力ある記事作りに定評があります。

タクシーの無線グループである東京無線協同組合とチェッカーキャブ無線協同組合が、2021年4月より業務提携することになりました。
この業務提携は、東京23区(正確には武蔵野市と三鷹市を含めたエリア)のタクシー業界の勢力図に影響を与えることが予想されます。そのため、これから東京23区でタクシー運転手になりたいと考えている方は、会社選びをするにあたり意識しておきたいところです。

そこで、今回はこの業務提携の内容や、タクシー運転手にとってどんな影響があるかについて解説します。

そもそも「東京無線」「チェッカーキャブ」とは?

一般の乗客が無線センターに電話でタクシーを依頼すると、付近にいるタクシーが無線機を通じて配車され、お迎えにあがります。これが無線配車の仕組みです。
無線配車のシステムは、日本交通や国際自動車のような多数の車両を抱える大手タクシー会社は単独で運営しています。しかし、中小規模のタクシー会社では保有している車両の台数が少ないため、単独で運営するとすぐに車両を手配できず、乗客の利便性を確保しづらいです。

そこで、中小規模のタクシー会社は無線配車のシステムを提供するサービスに加盟することで、無線配車による乗客の獲得を行っています。このシステムを提供するのが「東京無線協同組合」(以下、東京無線)や「チェッカーキャブ無線協同組合」(以下、チェッカー無線)です。

これらの無線組合に加盟する会社は車両のデザイン(外観)が統一されているので、乗客が自身の呼んだタクシーを判別しやすくなっています。
東京無線のタクシーは緑の車体に黄色のラインが入った外観です。東京タワーの形をした行灯(あんどん)が特徴です。

また、チェッカー無線のタクシーは目立つ赤色の車体で、両サイドに市松模様のラインが入っているのが特徴です。

東京無線とチェッカー無線の業務提携で変わること

両グループの業務提携で何が変わるのでしょうか。ここではプレスリリースにて発表された点について、タクシー業界に詳しくない方でもわかるように解説します。

車両外観の統一化

両グループに加盟するタクシーの外観は大きく異なりますが、業務提携後は外観の統一化を進めます。具体的にはチェッカー無線の行灯が東京無線のタイプに変更され、東京無線の車両にはチェッカー無線の市松模様のラインが入ります

なお、記事執筆時点(2020年11月)でこれ以上の詳細は明らかになっていません。両グループは「統合」するのではなく、あくまで「業務提携」なので、デザインが全く同じになるわけではないと予想されます。

タクシーチケットの共通化

両グループではタクシーチケットを発行していますが、共通のチケットを新たに発行することによってどちらの車両でも使えるようにします。これにより乗客の利便性が大きく向上します。

タクシーチケットなどの精算業務の一括化

タクシーチケットや福祉券など現金以外の方法で受領した料金は後日、換金する手間がかかりますが(タクシー運転手が自ら行うわけではありません)、この精算業務を一括して行う形になります。これにより一定の経費削減効果が期待できます。

教育・育成体制の統一

東京無線グループには教育指導部という部署があり、加盟している各社の新人乗務員は自社研修の他に、教育センターで5日間の新任乗務員教育を受けることが必要です。
チェッカー無線グループにはこうした研修体制は用意されていないようですが、両グループの業務提携でチェッカー無線に加盟する各社の新人乗務員もこの研修を受ける必要が生じる可能性があります。

無線配車システムの統合

無線グループ同士で業務提携する以上、配車システムを両者が別々に運営していては無駄が多いだけでなく、同じ乗客に対して重複して車両を配車してしまう可能性もあります。そのため、無線による配車のシステムを統合して効率的な配車を目指します。

タクシー運転手にとって業務提携はどう影響する?

これから東京23区でタクシー運転手を始めたいと考えている方にとって、両グループの業務提携はどう影響するのでしょうか。ここでは会社選びをするうえで知っておきたい影響について解説します。

車両台数で最大規模の無線グループに

東京無線とチェッカー無線はいずれも東京23区において規模の大きいグループです。参考までに主なグループの抱える車両の台数を列挙すると以下のとおりです(日本交通以下は業務提携関係の車両も含みます)。

・東京無線:約3700台
・チェッカー無線:約3100台
・日本交通:約4700台
・国際自動車:約3900台
・大和自動車:約2000台
・日の丸自動車:約1300台
・グリーンキャブ:約1000台

東京無線とチェッカー無線の業務提携により台数は合計で約6800台となり、業務提携によって日本交通や国際自動車に大きく差をつけることができます。
台数が多くなるということは配車スピードが上がり、乗客にとってメリットが大きくなります。また、タクシー運転手も乗客を獲得できる機会が増えることが予想されます。

なるべく呼んだらすぐに来てくれるタクシーを利用したいと考えている乗客にとっては、この業務提携は他のグループから乗り換える機会になるかもしれません。
両グループの業務提携がタクシー運転手個人の売上に大きく影響を与える可能性はそれほど高くありませんが、会社選びにあたっては、規模の小さい無線グループに加盟する会社よりも、大きなグループに加盟する会社を選ぶのが無難といえます。

相互のノウハウ共有でレベルアップ

一例を挙げると、東京無線グループでは2018年より人工知能を活用したタクシー需要予測サービス「AIタクシー」という仕組みを導入しています。
このシステムは過去のデータをもとにその日の天候・イベント・電車遅延などのリアルタイム情報を加味したうえで、30分後までの需要予測をカーナビのようなモニターに表示してくれるものです。

このシステムは一定の効果をあげており、これまで経験と勘によって行われていた営業を大きく変えるものとなりました。
両グループの業務提携によってどこまでノウハウが共有化されるかは不明ですが、こうしたシステムや先述した教育指導体制など、各グループが持つノウハウが共有化されることで相互のレベルアップが期待できます。

まとめ

両グループの業務提携は、他のグループに加盟する会社のタクシー運転手にとってもインパクトのあるニュースです。
先述のとおり、両グループは業務提携によって最大規模の無線組合となるため、東京23区を走るタクシーの多くがこのグループの車両となります。日頃、タクシーを利用する機会の多い人なら見た目にも違いを実感できるくらいの影響があるはずです。

今はアプリ配車もあるので、無線配車による売上のウェイトをそれほど重視する必要はありません。しかし、会社選びをするうえでは応募する会社の無線グループは意識しておいた方が良いでしょう。
ただし、所属している無線グループを脱退することもあるので(大手の飛鳥交通は2017年に東京無線から脱退して日本交通グループに加盟しています)、その点はあらかじめ承知しておいてください。

【都内二大無線グループ統合視野】東京交通新聞より(2020年11月2日抜粋)

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日本交通グループに1年勤務、DSP(ディスパッチャー日本交通タクシー乗り場の管理)・新卒採用担当(新卒採用での説明会)の業務を行っていました。業界の実務経験を経た説得力ある記事作りに定評があります。

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