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タクシー会社が月に1回必ず実施する「明け番集会(出番会)」とは?

タクシー会社が月に1回必ず実施する「明け番集会(出番会)」とは?

balloon=”bump” balloon_shadow=”true” bg_color=”#fff6dc” border_color=”#ffbc00″]この記事を書いた人:『転職道.com』の転職相談スタッフ・『タクシーハローワーク(TSJ)』では職業紹介管理者としてタクシー求人コンサルタントを7年従事したのち、東京特別区地理試験・法令試験取得者/二種免許保持。数々のタクシー企業担当者との取材や求職者との会話で最新の情報を記事化しています。自らも地理試験・法令試験・二種免許を保持し都内タクシードライバーとして勤務もしているまさに『二刀流』です。タクシーバイト企画当時もJPN TAXI及びクラウンで史上最速の平日&週末の両日連続で営収10万円を5度達成!現在では特別区売れっ子タクシー運転手としても活躍中。[/word_balloon]

タクシー会社が月に1回必ず実施する「明け番集会(出番会)」とは?

タクシー業界には独自のルールや習慣があります。
その一つが「明け番集会(出番会)」です。

今回はタクシー会社が実施する明け番集会の目的や内容参加しなければならない理由、そして転職を検討している方にとって知っておくべきポイントを詳しく解説しましょう。

明け番集会(出番会)とは何か?

明け番集会(出番会)についてタクシー業界はおろか、公共交通・運送関係未経験の方にとっては初めて聞く言葉であるかと思います。

この集会は多くのタクシー会社で月に1回必ず実施されており、運転手にとっては業務の一環でもあります。しかし、なぜこのような集会が行われるのでしょうか?

タクシー業界特有の“月例会議”

「明け番集会」とは、タクシー会社が月に1回以上、全運転手を対象に実施する集会のことです。

これは法令で義務付けられており、労働時間の扱いとしては勤務時間に含まれる場合と含まれない場合がありますが、多くの会社では勤務扱いとなっています。

しかし、実はこのような出番会はタクシー業界のみならず旅客業・運送業では月に一度タクシー事業者内で開催することが義務となっております。(詳細は後述します。)

出番会とも呼ばれる

明け番集会には、地域や会社によっては別の呼称で呼ばれることもあります。

それらは「出番会」「講習会」とも呼ばれ、業務報告、安全講習、事故防止教育、社内ルールの再確認などが行われます。

また、明け番とは言うものの、出庫前に受講する事もあります。

カケル
カケル
個人的には「明け番」で講習を受けるのは…疲労もあり集中力に欠けるというデメリットがあります。

同様に出庫前に受講となると「大切な営業時間が削られる」という見方も出てくるのですが…安全面を天秤に置いたらどうでしょう?
やはり後者が最適な気もします。(気持ちはよ~くわかりますけどね!)

昨今では新型コロナウイルス流行後の社会的動向もあり、web講習を実施しているタクシー事業者も存在します。

なぜ明け番集会が必要なのか?

月に一度、そんなことをする必要性があるのか?なぜ明け番集会が必要なのか?
そう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

タクシー事業者目線で言えば「言語道断レベル」な質問なのかもしれませんが、これからタクシー業界へ転職を考えている皆さんにとっては、そう思うのも無理もありません。

点呼とは別に、こういった講習会を月一で実施するのには、理由があるのです。

事故防止と安全運転のため

タクシー運転手は稼げる、夏は涼しく冬は暖かい快適な車内、更には一人の時間を過ごせてマイペースで働けます。

しかしそういったメリットがある反面、日々交通事故のリスクと隣り合わせの業務であることなのは否定が出来ない事実です。

明け番集会では、過去に発生した事故の事例共有や、交通法規の再確認が行われ、安全意識を高めることが目的です。

最新情報の共有

明け番集会では、最新情報の共有も行われます。

法改正や道路状況の変化、新たに設けられた社内ルールなどを周知徹底する場でもあります。
これにより、運転手同士で情報格差が生まれるのを防ぎます。

カケル
カケル
タクシー事業者特有の「アプリの更新」「専用乗り場の変更」「入構の有無」など、周知徹底には欠かせません。

もちろん後から再度聞くのも問題ありませんが、ここで周知したことは必ず営業面で必須な共有事項になりますので覚えておきましょう!

会社とのコミュニケーション

明け番集会では、所属するタクシー会社間とのコミュニケーションを図る場としても重要な場所になります。

普段は個別で働くことが多いタクシー運転手ですが、この明け番集会を通じて会社側とのコミュニケーションを図る重要な機会でもあるのです。

こういった場面だからこそ、日頃から思う質問や意見交換の場としても機能するという訳なのですね。

明け番集会で行われる主な内容

明け番集会で行われる主な内容はどのようなものなのでしょうか?
実際にタクシー運転手として活躍する筆者のケースを例に挙げていきましょう。

ちなみに筆者の所属するタクシー事業者では明け番集会はweb講習と実際のタクシー会社にて行う出番会、交互に織り交ぜています。

安全講習と事故防止教育

明け番集会では「交通事故の事例」 ・「ヒヤリハット体験の共有」 ・「最新の交通法規の説明」などを紹介しています(あくまで一例です)。

どれも重要事項であるのですが、特に印象的なのは…「交通事故の事例」でしょう。
自社で直近で発生したケースを話すこともありますが、筆者の所属するタクシー会社では『過去に起こった悲惨な例をまとめた交通安全啓発の紹介動画の一例を共有し、二度とこのようなケースの事故を起こさないことを戒めるという形で紹介する講習があります。

カケル
カケル
正直、心が相当痛みますし、目を背けたくもなることもあります。

それでもハンドルを握って公共の道路で営業する身としては絶対に視聴して「安全運転」のため戒めていかないといけないと毎回感じます。

該当のタクシー運転手名などはプライバシー保護の観点から当然伏せます。

売上・業務報告

タクシー会社も当然ながら法人事業主ですので、お客様から頂く料金=タクシー運転手の粗利によって事業が運営できています。

明け番集会はタクシー運転手の皆さまへ日々のたゆまぬ努力に感謝の意を表するために、会社全体及びタクシー業界の売上実績報告、営業エリアの動向共有を実施します。

また、個人成績のフィードバックも実施するケースもあります。

社内ルールの確認

タクシー業務は完全なる「接客業」です。

それゆえに徹底がなされない乗務員からなるお客様経由の苦情を基に、接客マナーの再確認 ・新しい社内規則の周知 ・トラブル対応のルール説明を行います。

これらは点呼でも都度説明することがありますが、明け番集会では全体の周知徹底のため、改めて噛み砕いて説明をします。

表彰・注意喚起

タクシー会社では年に1~2回、表彰関連を織り交ぜた形での明け番集会を実施します。

内容としては「永年勤務の運転手表彰」、「善行の運転手特別表彰」「優良運転手の表彰」などです。

また、同様に違反・事故の注意喚起も実施しますが、表彰とは別にここで特定の人物をつるし上げて「〇〇さん、気を付けてください!」というような事はしませんのでご安心ください。

質疑応答・意見交換

明け番集会はその他にも、タクシー運転手からの質問や働きやすさに関する改善提案をする場でもあります。

これらの質問等は明け番集会時外でも随時受けていますが、やはり明け番集会などの大勢のタクシー運転手や管理者が集合しているところでの質疑応答ですと、伝わりやすいことや聞いている方も多いため効果的でしょう。

場合によっては代表取締役社長などが出席しているケースもありますので、直接声を届けるのには絶好の機会かもしれません。

明け番集会への参加は義務なのか?

さて、前述の『タクシー業界特有の“月例会議”』でも申し上げましたが、この明け番集会の参加は義務か否か…ですが、これは義務になります。

ではどうして義務なのかという理由を深堀りしたいところであります。

明け番集会参加必須には以下の根拠をもって敢行されています。

法律上の位置付け

明け番集会は法律に基づき実施されています。

タクシー会社は『道路運送法』そして『旅客自動車運送事業運輸規則』に則って、安全教育を定期的に行う義務があります。

以上のことから、タクシー会社が実施する明け番集会への参加は基本的に“義務”とされていますので必ず参加をしましょう。

参加しない場合のリスク

では、明け番集会は参加しない場合はどうなるのでしょうか?

タクシー会社が実施する明け番集会への参加をしなかった場合、指導対象となる場合があります。
最悪の場合、勤務継続に支障が出ることもありますので注意が必要です。

カケル
カケル
参加自体はミーティングとか会議ではありませんので、そこまで億劫になる必要はないですよ。

給与面での扱いについては各会社により異なりますが、多くの会社では参加時間も賃金対象となるため、積極的に参加するのが望ましいでしょう…。

明け番集会を有効的に活用するには?

明け番集会はせっかくの機会。一人の時間が好きでタクシー運転手になったとはいえ、日頃思う疑問や共有しておきたいこともあるかもしれません。

もちろんそれらはため込まず、都度出庫帰庫時に仲間内や管理者に話すのも大切ですが、業務の円滑化も踏まえ、折角ならば有効的に活用したいものですよね。

積極的に質問・意見を出す

明け番集会はただ話を聞くだけはありません。

疑問点を解消したり、自身の意見を伝えるチャンスでもあります。
積極的に参加することで、自分の働く環境をより良くすることに繋がります。

ここで躊躇うと良い仕事環境とは程遠くなりますので、色々言っていくと良いと思います。

他の運転手と交流する

明け番集会の特徴として、普段は出庫時間や曜日の関係で、なかなか顔を合わせる機会が少ない他の運転手と情報交換ができることです。

情報交換を積極的にすることで、自分が普段から持っている疑問や悩みが「実は他のタクシー運転手仲間も同じことを思っていた!」「すっきりした!」「誰とも接点持たずと思っていたけど…意外と仲間が増えた笑」ということもありますよ。

また、タクシー運転手同士ですから「営業で稼ぐための有益なノウハウ」や「危険なエリア」の情報を得ることができるのも魅力でしょう。

会社方針を理解する

『普段自分が所属しているタクシー会社が、いったい何を考えているのかわからない…』なんて疑問を持って仕事するのではいくら“接客と運転の仕事”という単純明快な業務とはいえモチベーションの低下にもつながりかねません。

明け番集会では会社が普段何を重要視しているのか、そしてどのような方針で営業しているのかを知ることができます。

カケル
カケル
これらは長く勤務していく上で非常に重要ですよね!

明け番集会で会社の雰囲気が分かる

集会の雰囲気や進め方は、会社の風土をよく表しています。
しっかりした会社は安全に厳しく、意見も積極的に取り入れようとしています。

逆に会社によっては形式的に集会を実施しているだけの場合もあるで注意が必要です。
安全や働きやすさを本気で考えている会社は、明け番集会も充実しているはずですよ。

カケル
カケル
面接時に「自分なりに調べて、タクシー会社ではどの会社も明け番講習というのを実施していると聞きました。実際にどのような集会をしていますか?」と質問するのも良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

タクシー会社で働く運転手にとって「明け番集会(出番会)」は本来、安全意識を高め、会社とのコミュニケーションを取る大切な場となっているのです。

明け番集会がなぜ実施されてるのか?…その目的をしっかりと理解し、積極的に参加することで安全で快適なタクシー業務に繋がることができますよ。

この先タクシー運転手への転職を検討している皆さんは、明け番集会の内容や会社の取り組みにも目を向けて情報収集をしてみてはいかがでしょうか。

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