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タクシー業界への向かい風?追い風?各地で始まる〜運賃値上げ〜の動きに注目

タクシーを利用されるお客様からすれば「またかよ!」という心理が働くことは容易に想像が付くこの「運賃値上げ」の動き…。
これは現場が好き好んで値上げをしている訳では決してなく、燃料費高騰やドライバーの労働環境改善など…やむなき事情があるのです。
そして値上げをすれば、現場のタクシー運転手にとっては向かい風となるのか、はてまた追い風となるのか…如何に!
全国各地で始まる「タクシー運賃改定」の動き

近年、全国各地でタクシーの運賃改定や値上げ申請が相次いでおり、例えば 岡山市 を含む岡山地区・広島地区では「秋にも値上げへ」と報じられています。
それだけにとどまらず関西地区でも値上げは敢行され、ついには「先日値上げをしたようにも感じる」東京特別区でも改定の動きを見せているのです。(実際に直近での東京特別区運賃値上げ施行は2022年11月14日でした)。
値上げの例など
ここで一つ山口県・愛知県を例にお伝えしましょう。
2025年7月15日付で山口県ではタクシー運賃改定の要請書が提出されており、今後3ヶ月以内に一定基準を満たせば改定審査に入るという流れです。
※一定基準とは、保有台数の5割以上等を指します。
また、 愛知県の尾張・三河地区においても2025年4月30日までに保有台数の8割超の会社が中部運輸局に申請しているのが実態です。
そのため、当初は2025年9月中の実施が見込まれていましたが12月1日よりいよいよ改定がスタートします。
■愛知県尾張・三河地区
▼普通車初乗り
2025年12月1日からタクシー運賃が値上げされます。
●主な変更点
初乗り運賃…改定前:1.124kmまで630円 / 改定後:1.05kmまで650円
加算運賃…改定前:253mごとに100円 / 改定後:228mごとに100円
また岡山・広島地区では、2025年6月18日付で「運賃改定が必要」と判断され、秋にも値上げが検討されています。
なぜ今なのか?
運賃改定の背景には、主に燃料価格・車両維持費・人件費の高騰などがあります。
上記の事から日本全国のタクシー運転手、そして会社ともに「このままの料金体制では維持できない」という声が高まっており、タクシー業界内では「2025~26年は運賃値上げラッシュになる」とする見方もあるのです。
お客様にとっての“料金値上げ”とは?

運賃改定が行われると、お客様側にはどのような変化が起きるのでしょうか?
ここでは、タクシーを利用されるユーザー(お客様)視点で考えてみましょう。
負担は増えるのは必至…
運賃改定によって、ユーザー(お客様)には以下のような変化が想定されます。
・「初乗り料金」が上がる → 出発時点から料金が少し高めに設定される
・加算距離・時間が変わる → 以前に比べ料金が速く上がる
・深夜割増・迎車料金などのオプション料金も見直されることがある
しかしその分、タクシー事業者・運転手側はサービスの維持・安全確保に繋がるという意味もあります。
運賃変動は「チャンス」?

「初乗り料金が上がる」そして「加算単位が変わる」…それは上述でも申し上げたようにタクシー運転手・タクシー会社にとって “向かい風” に見えるかもしれませんが、実は “追い風” となる可能性もあります。
なぜなら、運賃が改定されることで、1件あたりの収入が上がる=稼げるドライバーにとっては好条件になり得るからです。
1件あたりの売上向上
運賃が改定されるということは、タクシー運転手にとっては大きなメリットがあります。
また、加算単位が短くなったり料金が上がったりすれば、同じ営業回数でも売上が上がる可能性があります。
つまり仮に初乗り運賃が上がれば、短距離利用でも収入が増につながるのです。
収入が安定化しやすい
運賃が下がらずに維持・改定されることで、「数年前よりタクシーは稼ぎづらくなった」という状況から脱却でき、転職・中途入社で入った方も安心して働ける環境になりますよ。
声を大にして言いたいですが、接客業ですので良い思いばかりではないのは確かです。
しかし、お客様の行先の長短で感情を左右することは決してしてはいけないと思います。
例えばそれだけ空車の時間が減る訳ですし、私たちは公共交通機関としてお客様を目的地まで安心安全にお届けする義務があるからです。
(そりゃぁロングが出た時は嬉しいですけどね!)
ですので、お客様の口からよく「近くてすみません」と言わせている業界の文化に疑問を感じています。
運賃改定の影響は?

もちろん運賃改定にはリスク・向かい風となる面もあります。
料金が上がることで、お客様が「公共交通に戻そう」と考えるケースもあり、初乗り運賃や加算運賃の増加分などがタクシー利用件数の減少につながる可能性は否定できません。
しかし実際のところどうなのでしょうか。
直近では一定数理解と変動なしで営収UP
但し、前例を見ていると運賃改定に関して国民は一定数の理解を示しており、改定後も利用増減に影響はない様子が伺えます。
最たる例は前回の東京特別区においての運賃改定でしょう。
初乗り500円になりましたが、大きな減少がなく、利用客数も配車アプリの恩恵やインバウンド需要も後押し過去最高を記録、営業収入増加となるタクシー運転手や事業者は増加したのです。
配車アプリの競争激化
タクシー運賃に直結するのが「配車アプリ」のクーポン利用やユーザー動線の最適化でしょう。
配車アプリ事業者各社もこぞって囲い込みで競争激化は見込まれ、それに準じてタクシー運転手側も「効率の良い営業」が一層求められるようになります。
現在大手のタクシー事業者がテレビCMはもちろん、初回登録割引クーポンなどのキャンペーンを実施しております。
これらも手軽さがモノを言う感じでタクシーを利用しやすくなった要因なのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
タクシーの「運賃値上げ(初乗り・加算など)」は一見、利用者の負担増のように見えますが、『タクシー運転手、そしてタクシー事業者にとって“働きやすく・稼げる環境が整うチャンス』でもあります。
これからタクシー運転手に転職を考えている皆様にとっては、“運賃値上げの流れ”を味方にして、自分の稼ぎ力を高める働き方を選んでほしいと思います。
そのためにはしっかりと情報を掴み、自分に合った会社・地域でスタートすれば、タクシー運転手としてのキャリアは確実に“稼げる選択肢”になります。




