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諸刃の剣!?タクシー営業に欠かせないカーナビと運転手との“関係(距離感)”とは?
いつの間にか世の中に浸透し、当たり前となった機能…それが「カーナビゲーション」こと、略してカーナビです。
今や大きな地図ではなく、一般ドライバーにとっても必需品となっているこの「カーナビ」。
スマホの普及によって、地図アプリケーションの普及が進んだことにより、近年では売上低迷の波もありますが、それでもクルマのオプションとして欠かせない存在であることは言うまでもありません。
そしてタクシー業界でも、カーナビは特に未経験者や新人運転手にとっての命綱ともいえる存在です。

タクシー業界へ転職を検討されている『未経験』からの方も、この記事を読んでいただければタクシー営業の現場で「どうカーナビを扱えばいいか」がイメージできることでしょう♪

カーナビ=万能ではない!?タクシー営業での真実
実はこのカーナビは厄介なことに、使い方を間違えると「諸刃の剣」となってしまう可能性もあります…。
カーナビはあくまで機械です。そしてタクシーは接客業ですから「生身の人間」が乗車されます。
カーナビの案内とお客様のルート希望が食い違っていたり、電波状況によってはとんでもないルートを案内されたり……そのような経験は実を言いますと珍い事ではありません。
カーナビは「第二の相棒」
カーナビがあることで、新人タクシー運転手でも営業が始められるのは大きな安心材料です。
営業を支えるという視点では『初めてのエリアでも目的地まで案内してくれる』ことと、『複雑な街でも通行できる道を教えてくれる』こと、そして近年では目的地設定をすると『最短時間で到着する案内を提案』する機能もあります。
特に地方出身者が東京でタクシーを始める場合など、地理に不安がある人ほどカーナビの恩恵を強く感じることでしょう。

私はデビューしたての3か月くらいはナビがなければ絶対に無理でした。
お客さんの“○○まで裏道使ってください”ってリクエストに毎回冷や汗かいてました(笑)」
カーナビが招く営業トラブル
カーナビは確かに便利ですし、タクシー運転手の味方であることは言うまでもありません。
一方で、タクシー営業においては渋滞や抜け道、地元の人しか知らないショートカットなどは把握していないため、時に営業時のトラブルを引き起こし、苦情のきっかけとなる場面もあります。

基本所作としては場所が不明確の場合は目的地を伺った後、必ずお客様に「カーナビを使用してもよろしかったでしょうか」と確認するのが主です。
(自分はわからなかったら素直に「教えてください!」と聞きます…。)
慣れてきた今だから改めて思います。
ナビはあくまで「補助」であって、基本はタクシー運転手として道は覚えていく姿勢が大切だと!

カーナビのトラブルあるある
以下はカーナビ利用におけるトラブルあるあるです。
これを把握して営業するだけでもかなり心持ちが違うと思います。
本当によく「あるある」ですので、覚えておくと良いでしょう。
高速道路下の幹線道路を走っているのに、高速道路走行になる
東京都内ですと、六本木通り・玉川道路(国道246号線)や甲州街道などの幹線道路を走行中に、ナビを入れたまま運転していると信号待ちの際、急に併走する高速道路(首都高速)を走行しているモードになってしまうといった現象が発生します…。
主にアプリ配車のナビを使用するとその現象が発生することが多く、電波の問題もあり現時点では避けられない現象のようです(とはいえ「何とかしてほしい!」という現場の声は半端でないのも確かです)。
周辺の目的地をしっかりと把握し、万一高架下を走行中に併走する高速道路の走行モードになっても慌てずに気を付けて運行することが重要です。

工事中の道を案内されてしまう(情報更新の遅れ)
現代においてはカーナビもアップロードが頻繁に実施されていますので、「ナビ通りに走行したら工事中」或いは「道が完成していない」といった昔よく聞かれた現象は、あまり聞かれなくなりました。
しかし、夜間に車線を規制して実施する工事や、年末に良く見られる工事などは流石にカーナビの中だけでは情報は入ってこないのが現状です。
尚、工事による通行止めや歩行者天国、料金所通行止め等はナビに出るケースが多いでしょう。
裏道や抜け道が一切案内されず、遠回りルートになる
カーナビは裏道には弱いと思ってください。
もちろん、GoogleMapなどでナビを利用したら「とんでもない細い道を案内された」なんて経験がある方もいらっしゃると思いますが、とりわけ都内には多くのルートが存在し、幹線道路をメインに営業したとしても、高架・アンダーパスの使い方ひとつで大きく変わってしまいます。
もちろん、失敗から学ぶことが一番身になります。
また、時間帯によっては渋滞を避けるための役割であるべきの陸橋やアンダーパスが渋滞し、返って側道から回った方が早いというケースもあります。
こればかりは実際にハンドルを握り、タクシー運転手の業務についてから身になることが多いでしょう。

気付けた数だけ、武器になりますから!
右折・車線変更の指示が直前すぎて間に合わない
電波の関係でタクシーの進行がリアルタイムよりわずかな誤差となってしまう事はよくあります。
特に路地裏や、幹線道路で小道に曲がる際などは注視しましょう。
確実に指示通りに行くために、運転手自身でも「信号抜けて3個目のコンビニがある角を左に曲がる」とナビを参考に目標物を見定めて走行することが大切です。
新人タクシー運転手でもやってしまいがちなのが「曲がる道を通り越してしまう」などです。
(…そうは言いましても、新人さんに限らずやってしまうケースはあります。)
お客様の中には“道のこだわり”がある場合も
タクシーを利用されるお客様の中には、「目的地までこの道で行ってほしい」「〇〇通りを使って」といった明確な希望ルートを持っている方も多く見られます。
そんなときに、無断でナビ通りに進んでしまうと…苦情の基になりかねません。
例えば「なんでこっちの道を通るんだ?」や「いつもと違うから不安になる」、「料金が余計にかかった気がする」など、トラブルの火種になる可能性があります。
ナビを使う前に一言確認を
前述でも申し上げましたが、やはり「カーナビを使用してよろしいでしょうか?」という声掛けは大切です。
また、ナビ使用前に「お好みのルートはございますか?」と聞けば、無用な衝突も避けられます。
「道を覚えること」が最強の武器になる
タクゾー君も申していましたが、カーナビはあくまでタクシー営業時における「補助」です。
最終的に重要なのは「自分自身」の地理感覚です。
タクシーの営業中にナビを見なくても、瞬時に最短ルートを判断し、抜け道や渋滞回避ルートを選択し提案したり、都度お客様にスムーズな案内を実施すること…これらができて来ますとタクシー運転手として大きな飛躍になります。

最高に嬉しかったです!
カーナビの指示を「鵜呑み」にせず、常に「自分だったらどう行くか」を考えるようになれば大したものです。
カーナビ依存にご注意!
タクシー運転手のイメージは「道を良く知っている職業」というのが一般論の一部でありましょう。
しかし、何十年も前のタクシー運転手ならともかく、現代のタクシー運転手はカーナビの恩恵を半端でなく受けています。
しかし、カーナビへの依存が強すぎると仕事がつまらなくなるというのも事実です。

「道を覚えてきたら、営業がゲームみたいに楽しくなるんです。『この時間ならこっちが空いてる』『この裏道は近道』って!
ナビ頼みでなく、自分の知識で仕事ができることにある種の快感を覚えています笑。」
ナビに頼らず自力で目的地までご案内ができたときの達成感は、タクシー運転手の大きな魅力の一つとも言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
タクシー運転手にとって、カーナビは非常に頼りになる存在です。
しかし、カーナビ様(笑)に依存しすぎれば逆にお客様から苦情を受けたり、営業効率を落とすリスクもあることを忘れてはいけません。
あくまでカーナビは営業時における補助です。
カーナビを正しく使いながら、地理感覚を養い、基本はわからない場合はお客様に伺う姿勢、そして最終的には『カーナビなしでも営業できる状態を目指す』…これこそが、本当の意味で“稼げる&働きやすいタクシー運転手”になるための秘訣と言えましょう。
そしてカーナビをただの補助として終わらせてはいけません。
自分自身の『タクシー運転手として成長を促すツール』として活用することで、タクシー業務をもっと面白く、誇り高いものにしていきましょう。
カーナビとタクシー運転手の関係はまさに「ちょうどいい距離感」が理想です。これこそが営業の秘訣かもしれませんね!