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タクシー運転時&乗車時は注意!シートベルトの着用の声掛けの重要性とは

タクシー業界において、お客様の安全を守るために欠かせない取り組みの一つが「シートベルトの着用声掛け」です。
高速道路はもちろん、近年では一般道路でのシートベルト着用も事実上“義務”とされており、国土交通省や警察庁からも乗客への着用指導が強く求められています。
しかし、実際の現場では「お客様に嫌がられないか」「距離を置かれるのでは」などの不安から、声掛けをためらう運転手も少なくありません。
今回はタクシー運転手がシートベルトの声掛けを徹底しなくてはならない理由を、法律、安全、事故リスク、接客、そして仕事のやりがいの観点から掘り下げて解説します。
シートベルトの着用義務は“法的に”どうなってる?

タクシーに限らず自動車を運転する際、運転手・助手席は着用義務はありますが、後部座席の着用義務に関しては未だにあいまいに考えていらっしゃる方も少なくないはずです。
では一体、シートベルトの着用義務は“法的に”どうなっているのでしょうか?
現在日本の道路交通法において、シートベルトの着用義務は以下の通り定められています。
一般道では着用義務化に近い形に
一般道では、基本的には助手席と運転手に着用義務がありますが、タクシーの後部座席については“努力義務”という形が続いていました。
しかし、近年の事故リスクや死亡事故の統計結果などを受けて、後部座席でも着用を求める流れが強化されています。
警察庁のデータによると、後部座席非着用者の死亡率は着用者の約3倍にも上るとの報告があります。
このため、タクシー運転手が声掛けをして着用を促す行動は、安全確保と法律順守の両面で極めて重要です。
高速道路では後部座席すべてに着用義務あり
また、タクシーに限らず、高速道路上では乗車しているすべての人がシートベルトを着用しなければなりません。
これに違反した場合、運転手が点数の減点対象になることもあります。
高速道路は一般道とは違い、その名の通り高速で道路を通行しますので、それだけ万が一の事が起こってしまった際は相当な負荷がかかります。
少しでも身を守るためにシートベルトは着用しなければならないのです。
事故発生時に“未着用”リスクの重大性

ここで少し恐ろしい話をします…が、決して脅している訳ではなく、タクシー営業をする最にこれらのリスクは実際に起こりえる話です。
しかし、事前にお声がけや徹底して安全事項を遵守していれば避けることが出来る事案ですので、しっかりと刻んでおきましょう。
タクシー業務で最も避けなければならないのは、お客様を巻き込んだ事故です。
どれだけ安全運転に努めていても、もらい事故や突発的な状況による追突・衝突事故の可能性はゼロではありません。
後部座席でも“万が一の危険”
タクシー運転手はもとい、お客様でもありがちなのが、「後ろだから大丈夫でしょ」と油断してシートベルトをしなかったというケースです。
シートベルトを着けていない後部座席のお客様は、万が一事故が起きた最に車内で激しく跳ね飛ばされる危険性があります。
それだけでなく、前の座席の人や運転手に激突して二次被害を引き起こす可能性すらあります。
これは単なる“気遣い”ではなく、業務上の義務・責任とも言えるのです。法的責任・損害賠償に発展することもゼロではありませんので、注意が必要です。
自動音声もあるが…
最近では一部のタクシー車両で、乗車時に自動音声で「シートベルトをお締めください」とアナウンスが流れるタイプもあります。
しかし、この機能に頼りきるのは危険です。
タクシー運転手自らお伝えする。
荷物整理・電話中・会話中などで、アナウンスに気づかない乗客も多く、実際には着用していないまま出発してしまうことも珍しくありません。
「すみません、念のためシートベルトの着用をお願いいたします」
この一言を丁寧に、感じ良く伝えることで、お客様も気を悪くせず素直に応じてくれるケースが大半です。
声掛けはプロ意識の表れ

プロのタクシー運転手として求められるのは、「ただ運転する」だけではありません。
安全・快適・安心な移動空間を提供することが、現代のタクシーサービスの価値なのです。
シートベルト着用声掛けは“接客”の一部
勘違いをしないでいただきたいのでは『声掛けをする=お客様に対して注意をしている』、という訳ではありません。
「お客様の安全を本当に考えている」という姿勢を、自然に伝える行動なのです。
そのため、「義務ですから!」と強く言えば警戒されてしまう可能性があるので本当に気を付けてください。横柄な態度と捉えられてクレームの基になってしまいます。
「すみません、安全のために一言だけ…」「いつもお手数ですが、ご協力ありがとうございます」など、クッション言葉や感謝を添える工夫で印象は大きく変わりますよ。
“安全を伝える仕事”

タクシー運転手への転職を考えている方にとって、「運転が得意」「道に詳しい」だけではなく、人の命を預かる仕事であるという意識を持てるかどうかが重要です。
安全に送り届けるという事を常に念頭において、真心のこもったお声がけが重要になってくるのです。
安全への意識が高い人は重宝される
多くのタクシ事業者では、事故防止研修・安全運転講習・接客トレーニングなどを設けていますが、最終的には一人ひとりの安全への意識が大切となってきます。
最初から“声掛け”を自然にできる人は、非常に信頼されます。
すべての接客に言えますが、第一印象はとても大切なのです。
小さな声掛けが、大きな信頼につながる…それこそがこのタクシー運転手という仕事の魅力です。
まとめ|“声掛け”はプロの証。タクシーは命を守る公共サービスである
いかがでしたでしょうか?
現在シートベルトの着用は、法律・安全・命を守る行為として当然の義務となっています。
以前に比べますと筆者のタクシー営業中は、お客様しっかりと着用してくださる方が増えた印象があります。
しかしながら、タクシー営業においては「言われないと着用しない」お客様も未だ少なくありません。
だからこそ、タクシー運転手が積極的に“声掛け”をすることが、真のプロフェッショナルである証です。
法律を遵守する・事故を未然に防ぐ・お客様を守る・信頼を得る・サービス向上につなげる…そのすべてが、「シートベルトをお願いします」という一言に集約されていると言っても過言ではありません。
これからタクシー業界に転職をされる方や転職を検討中の方にとって、この接客におけるタクシーの“声掛けの文化”を大切にすることが、良いスタートを切る鍵となる事でしょう。




