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仙台市で初の「フルデマンド型乗り合いタクシー」試験運行開始

仙台市で初の「フルデマンド型乗り合いタクシー」試験運行開始

地方都市でのタクシーが持つ役割は、過疎化と共に年々課題が増えるのが現状です。

そんな状況でも、タクシーが持つ利便性から派生する可能性を、タクシー業界は隅々まで追求を続けています。
今回は3月で東日本大震災から10年を迎える、宮城県仙台市から地域密着のタクシー業界ニュースをご紹介します。

仙台市で初の「フルデマンド型乗り合いタクシー」試験運行開始

「ぐるりんあきう」出発式の様子。(写真:河北新聞より)

仙台市太白区秋保町で1月18日、予約制の乗り合いタクシーの試験運行が始まりました。

運行事業者は太白区の有限会社秋保交通。
仙台市内4カ所目の地域交通で、初めてとなる時刻表や停留所のないフルデマンド型で愛称は「ぐるりんあきう」。
住民組織「秋保地区の交通を考える会」が運営主体となっています。

当日は秋保総合支所で出発式が行われ、ロゴマークや愛称を考案した地元住民や小学生たちがテープカットを行い出発式を開催。
地元住民の方々からは「学校までの送迎は朝も早くて余裕がなかったので、乗り合いタクシーがあると余裕を持って通学通勤できます」という歓迎の声が上がりました。

空白エリアを解消

宮城県内でも有数の観光地。温泉街としても有名な秋保地区。シーズンは混み合うが、太白区内の空白地帯が多数点在するのもまた課題であった。

太白区秋保地区は、県内きっての温泉街としても有名です。

ただし西部と南部に公共交通の空白地があり、今回この乗り合いタクシーは西部南部の2カ所を発着エリアに秋保町全域を走行予定。空白エリアの解消に期待がかかります。
ちなみに車両はセダン車両を利用。観光客の方も使うことができるとのことです。

運行時間は平日:午前6時から午後7時までで、電話予約が必須とのこと。
運賃は200円~600円と移動距離によって変動あり。※学生・高齢者・障害者には割引制度が設けられています。

地域の足、観光の足に期待

今回のフルデマンド乗り合いタクシー「ぐるりんあきう」の運行マップ。概ね馬場、秋保、湯元の3小学校区となっている。(出典:仙台市)

なお、試験走行は3月31日までの予定ですが、今後利用者が見込みを超えた場合は試験運行を最大1年間に延長するとのことです。

住民組織「秋保地区の交通を考える会」の会長、及川純一氏は「空白地域が持つ課題を解決しながら今後は本格運行に向け、粘り強く進めていきたい」と語りました。
また試験走行に対し、仙台市長の郡和子氏は「地域の足を担い、観光客に愛され、地域に根付くことを期待したい」と述べました。

これから~Opinion~

各地で広がりを見せるデマンド型タクシー。利便性は高い反面、初期導入や維持管理の費用が高額となるケースあり、検討すべき課題があるのも確かです。

「地域の足」となる存在意義の高いものではありますので、過疎地にこそ草の根で根差していくには、タクシー会社だけでなく、行政レベルでの協力が必要不可欠となっています。

観光地であれば、地域住民だけでなく経済活性化の面もあるので、一発逆転と言ったギャンブル的要素では決してなく、継続していけるような大きなビジョンを持ち合わせての導入が望ましいと言えましょう。

コロナ禍で大変な時期ではありますが、逆手にとって終息後のチャンスをつかむことが出来るかどうかの、ツールかもしれません。

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