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東京のタクシー・ワンメーター運賃の変遷を解説 今後はどうなる?【経験者が予想】

東京のタクシー・ワンメーター運賃の変遷を解説 今後はどうなる?【経験者が予想】

この記事を読んで分かること

・タクシー会社の面接の自己紹介で話すべき事

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専属ライターO
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【この記事の制作者】

日本交通グループに1年勤務、DSP(ディスパッチャー日本交通タクシー乗り場の管理)・新卒採用担当(新卒採用での説明会)の業務を行っていました。業界の実務経験を経た説得力ある記事作りに定評があります。

タクシーの運賃は運転手の待遇改善を目的として年々値上げされてきましたが、東京23区において平成29年に初乗り運賃が大幅に値下げされ、その傾向に変化が生じました。

また、東京のタクシーをめぐる環境は大きく変わりつつあります。そのため、単にワンメーター運賃の動向を見ているだけではタクシー運転手の将来(特に収入面)を予想することは難しいと言えるでしょう。

そこで、今回は東京におけるタクシー運賃の変遷について解説し、あわせて今後のタクシー運賃がどうなるかについて、経験者が予想します。

東京のタクシー・ワンメーター運賃の変遷

まず、東京のタクシー運賃の過去を振り返ってみましょう。ここでは平成に入ってからワンメーター運賃がどのように変わったのか、その変遷について解説します。

東京23区(特別区・武三交通圏)のワンメーター運賃

東京23区に三鷹市と武蔵野市を加えた特別区・武三交通圏(以下「東京23区」とします)のタクシー運賃は以下のように推移しています(一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会「東京のタクシー2020」より抜粋)。

国交省より認可された日 初乗り

(ワンメーター)

加算※1 深夜早朝割増 遠距離割引
平成2518 2km

520

335mまたは210ごとに80 3割増
平成4425 2km

600

347mまたは25秒ごとに90 3割増
平成7221 2km

650

280mまたは140秒ごとに80 3割増 9000円超

1割引

平成9310

2

2km

660

274mまたは140秒ごとに80 3割増 9000円超

1割引

平成19112 2km

710

288mまたは145秒ごとに90 2割増 9000円超

1割引

平成2641 2km

730

280mまたは145秒ごとに90 2割増 9000円超

1割引

平成29130日※3 1.052km

410

(380~410円の間で認可)

237mまたは130秒ごとに80

237~256mまたは130秒~1分35秒の間で認可)

2割増 9000円超

1割引

令和元年101日※3 1.052km

420

(390~420円の間で認可)

233mまたは125秒ごとに80

233~251mまたは125秒~1分30秒の間で認可)

2割増 9000円超

1割引

※1 初乗り距離の経過後、走行した距離または時速10km以下になった時間のいずれか先に到達した基準で加算される金額

※2 平成9年は初乗り1km340円の短距離運賃も認可されていますが、採用した会社が少ないので省略しています。
※3 タクシーの運賃は認可された一定の金額(公定幅運賃)から事業者が選べますが、ほとんどの事業者は初乗り

410円、420円という上限運賃を採用しています。なお、令和元年10月の変更は消費税率の改定にともなうものです。

大きな変更としては以下の点が挙げられます。

・遠距離割引の導入(平成7年)
・深夜早朝割増が3割増から2割増へ引き下げ(平成19年)
・初乗り運賃が730円から410円へ引き下げ(平成29年)

平成29年に認可された運賃は一見すると全般的な値下げのように見えますが、初乗りの距離や加算の距離・時間も短くなっています。

そのため、利用する距離が約2キロまでは値下げ、約2.0~6.5キロまでは値下げと値上げが混在、そして約6.5キロ以上の距離を利用する場合は値上げになっています。

多摩地区の運賃

多摩地区(北多摩・西多摩・南多摩)では平成26年以降、以下の運賃が認可されています。

国交省より認可された日 初乗り 加算 深夜早朝割増 遠距離割引
平成2641 2km

730

(700~730円の間で認可)

276mまたは140秒ごとに90

(276~288mまたは1分40秒~1分45秒の間で認可)

2割増 9000円超

1割引

令和221 1.2km

500円(470~500円の間で認可)

257mまたは135秒ごとに100

(257~273mまたは1分35秒~1分40秒の間で認可)

2割増 9000円超

1割引

多摩地区では平成26年から東京23区と運賃が変わりました。平成26年の変更ではそれほど違いはありませんが、令和2年の変更では初乗り運賃・加算運賃ともに違いが大きくなっています。

ワンメーター運賃はなぜ下がった? 効果はあった?

東京のワンメーター運賃が大幅に下げられた理由は以下の2点です。

・タクシー運賃は割高感があり、東京五輪を控え、国際基準に合わせるべきと言われていたため
・タクシー利用が減少傾向にあったので、消費者のタクシー離れを解消するため

国土交通省の発表によれば、この値下げにより運送収入は2.8%のプラスとなっています(導入後3ヶ月間のデータ)。2キロ以下の近距離利用では7.3%のマイナスですが、2キロ以上はプラスになっているので、トータルの収入もプラスになっています。

回数ベースでは2キロ以下での利用がトータルで18.7%増加し、初乗り運賃以内の距離(1.052キロ以下)での利用は35.7%も増加しました。この結果を見る限り、おおむね当初の狙い通りになったと言って差し支えないでしょう。

大阪から始まった「55(ゴーゴー)割」はどうなった?

「55割」とは、5000円を超えた分が5割引になるという運賃体系です。この運賃は規制緩和が行われた2002年に、大阪のタクシー会社12社・1720台から始まりました。

この運賃は従来のものと比べてかなり安いため好評で、次第に大阪以外の地域でも導入する会社が増えました。

ただ、この運賃を導入している車両の数は大阪府内で2010年に約1万7000台ありましたが、2019年には約1万4000台に減少しています。

事業者の負担が大きいことから実施している会社の多くがこの運賃をやめたいと考えているようですが、消費者への浸透度合いが大きいことから簡単にはやめられないという事情があるようです。
そのため、東京でこの運賃が認可される可能性は低いと考えて差し支えないでしょう。

今後のワンメーター運賃に影響を与えそうなトピック

東京23区におけるタクシー運賃に影響を与えそうな要素はたくさんあります。ここでは主な4点について、タクシー業界にどのような影響を与えるか、経験者が予想します。

トピック1:事前確定運賃

事前確定運賃とは、スマホの配車アプリを利用して乗車地と目的地から乗車前の時点で運賃を確定するものです。

運賃だけでなくルートもあらかじめ決められてしまいますし、通常の運賃よりも高くなることもありますが、乗客はいくらかかるか分からないという不安から解消されるというメリットがあります。

タクシー運転手にとってどちらが得になるかはケースバイケースですが、乗客にとっては不安が1つ解消されるのでトータルでの利用回数が増え、業界全体にとってはプラスになる可能性が高いです。

トピック2:Uber Taxi

2020年7月よりアメリカのウーバー社が提供する「Uber Taxi」を新宿区、渋谷区、港区などの一部エリアで利用できるようになりました。

タクシー運転手のサービスに不満を持つ利用者からは支持される傾向があるので、こうしたサービスが普及すれば、従来のタクシーはお客さんを奪われる可能性があります。

Uber Taxiはタクシー会社と業務提携をして運営しているので、Uber Taxiのような新しいサービスが気になるなら業務提携をしている会社を選んで働くのも1つの方法です。

トピック3:ライドシェア

ライドシェアには①自家用車を利用して一般の人が乗客を輸送するタイプ、②タクシーを複数の乗客が共用するタイプの2種類があります。

①については道路運送法に違反する「白タク」行為に当たるので、日本では認められていません(ただし、ガソリン代などの実費を超えない範囲の対価を受け取るケースは認められています)。
②はタクシーを知らない人同士が「相乗り」するタイプです。こちらも記事執筆時点(2020年12月)において、国内では解禁されていません。

1台のタクシーを複数の人が共用すれば売上が2分の1、3分の1になるので、単純に考えればマイナスのように見えます。ただし、料金が安くなるなら電車やバスを使わずタクシーで移動しようという人も増えると予想されるので、売上が大きく減るとは限らないでしょう。

トピック4:自動運転タクシー

無人で運行する「自動運転タクシー」は記事執筆時点において、すでに国内でも実証実験が行われています。

ただ、日中における近距離の利用で自動運転タクシーがお客さんに支持されるとは考えにくいです。なぜなら、自動運転タクシーはカーナビが示すルートを走行すると予想されますが、タクシーはナビが選ぶようなルートを利用しないことが多いからです。

その結果、目的地に到着するまで有人タクシーより時間がかかってしまう可能性が高く、乗客から選ばれない可能性があります。

ただし、深夜の長距離利用では大通りを走るだけで済むことが多いので、運賃が安くなるのであれば自動運転タクシーが選ばれる可能性も考えられます。 もしそうなると、タクシー運転手は収入面での影響を受けることになるかもしれません。

まとめ

東京23区はタクシー業界の中でも市場規模が大きいことから、日々新たなサービスの導入が進んでいます。

タクシー運転手の待遇を維持するために値上げを繰り返すという時代はすでに終わりを告げ、消費者のニーズを丁寧に汲み取って、それに応えることが求められる時代に入ったのかもしれません。

これから東京でタクシー運転手として働くことを考えているのであれば、タクシー関連のニュースには常にアンテナを張っておき、環境の変化に適応できるよう心がけることが必要になるでしょう。

専属ライターO
専属ライターO
【この記事の制作者】

日本交通グループに1年勤務、DSP(ディスパッチャー日本交通タクシー乗り場の管理)・新卒採用担当(新卒採用での説明会)の業務を行っていました。業界の実務経験を経た説得力ある記事作りに定評があります。

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