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直木賞作家 志茂田影樹氏の次男
直木賞作家・志茂田景樹氏の次男で、タレント活動をしていた下田大気(35)が、なんとタクシー運転手に転身していた。
しかも年収800万円を稼ぐトップドライバーとして本も出したという。
矢沢永吉主演のドラマでデビューした男に何があったのか?
―タレントからなぜタクシー運転手に
下田:高校時代に俳優デビューしたもののパッとせず、 高校卒業後に設立した会社も廃業。芸能プロを経営したけどまた廃業。 そんな時にタクシー運転手の先輩から声をかけられ、すぐにやろうと思ったんです。
―すぐに?
下田:以前からタクシーが好きで、客として乗るたびに「自分の方がいい走りが出来る」 「運転手になったらいける」と思ってたんですよ。
小さいころから方向感覚が良くて、地図も見ずに自転車で10キロ以上離れた塾に 通ってましたし、高校時代に原付きで都内をグルグル回ったり、タレント時代の マネージャーが抜け道に詳しかったので、都内の道はかなり頭に入ってました。
―実際に始めてみて
下田:初乗務の日に会社内2位。自信が確信に変わりました(笑)。 その月に社内トップになり、半年で業界トップレベル、1年でそのひと握りのレベルまでいきました。
初乗務の2009年10月から3年近く毎月社内トップ。
年収はタクシーだけで800万円です。
―800万円!
下田:努力次第でそれぐらい稼げます。例えば朝は10分単位で人の流れが変わるので、 僕はどこで乗せられるか、曜日ごとの時間と場所を研究してすべて頭に入れました。
効率よくできるまで1年かかりましたが。
タクシー運転手に転身し成功、年収800万円の極意
―そんなに稼げる
下田:タクシーで稼いだ資金で新宿にラーメン店、川口と小平に油そば店を出せました。
自由な時間がたっぷりあるのもいいんですよ。
規定で乗務できるのは月に13日。残りの時間を好きに使えるので、今は家族心理士の資格を取ろうと学校に通っていて、あと半年ぐらいで取れそうです。
乗務していると何かと悩みを抱えた人が多いので、接するわずかな時間でも話をして、気持ちよく降りていただければと思いまして。
―不況の像徴として語られることもありますがイメージが覆ります。
下田:そうなんです。だから若い人にどんどん来てほしい。ちゃんとやれば稼げるし、自由な時間で勉強もできる。トップでも800万円しか稼げないとも言えるので、次のステップへの資金稼ぎでもいいですし。
本業が不動産屋とか、兼業している人もいますよ。
―ところで乗務中、怖い目に遭ったりは
下田:3年ほど前、西麻布で薄気味悪いお客さんを乗せたんですよ。
で、青山霊園を通った時に寒気がしてミラーを見たら、青白い顔でニタニタしてる。
ヤバイ…と。でも後日、テレビで人気芸人だとわかりました。
―誰ですか
下田:ピースの又吉さんです。ケータイいじってて下から光が当たってたんですね(笑)。
当時は知らなかったもので、又吉さん、すみません。
稼いだ資金でラーメン店、油そば店を経営
―やはり芸能人を乗せることも
下田:忘れられないのは葉加瀬太郎さんです。
新人のころに六本木からお乗せして、抜け道を知らなかったので「新人です。教えてください」と正直に言ったら「この道は絶対覚えておいた方がいい」と、目的地に着いた後にメーター入れたままもう一周してくれたんです。
その料金にチップまで頂いて、今も感謝しています。
―父親の反応は
下田:やっと安定した仕事についたと安心してました。
実は父親の作家デビューが36歳。僕も36歳の年に本を出せて、因縁を感じてます。
今年はタクシー100周年なんで、僕がメディアにでることで印象が少しでも変わればと思ってます。
- しもだ・ひろき
- 1976年8月12日生まれ。東京都出身。高校時代に矢沢永吉主演ドラマ「アリよ、さらば」で役者デビュー。
2009年から東京無線グループのタクシー運転手。今年7月に自身の体験をつづった「タクシーほど気楽な商売はない」(光文社)で 作家デビュー。新宿でラーメン店「ザボン」、川口と小平で油そば店「油番長」を経営。
今後は運転手と並行して執筆とタレント活動にも力を入れるという。
東京スポーツ新聞 2012年7月31日